10年ひと昔というが、2000年代に入ってから25年、四半世紀が経過した。ふた昔以上前には、どのようなクルマが生まれていたのだろうか。世の中がミレニアムに沸いた2000年、クセの強いクルマもたくさん生まれていたようだ。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ、三菱、日産、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】ネオクラ? Y2Kリバイバル? 時々でいいので私たちのこと思い出してください…… 徒花じゃないぞ!な名車たち(17枚)画像ギャラリーこんなに個性を出すのは珍しいぞ! どうしたトヨタ
トヨタが2000年に登場させたモデルと言えば、カローラフィールダーにエスティマ(2代目)など、爆発的な人気を博したクルマたち。しかしながら、トヨタらしからぬ個性が強すぎるクルマが登場したのも2000年のこと。
まずはオリジン。トヨタ自動車の国内生産累計1億台達成を記念して発売したこのクルマは、初代トヨペットクラウンをモチーフにしたセダンである。
前後ドアは観音開きで、丸目のヘッドライトにシルバーのバンパーが輝く。エクステリアはほとんどが手作業で制作され、小さなセンチュリーとも言えるクルマだった。
また、馬車のようなキャビンを持つ、個性的なエクステリアのWiLL Viが登場したのも2000年。自動車の新たなカテゴリーの提案だった。
さらに5ドアハッチバックながら、長いホイールベースのおかげで、リアシートがスライドできるほど広かったオーパも2000年生まれ。フランス車のような見た目に、ステーションワゴンのような使い勝手があり良いクルマだったが、当時のユーザーからは不評だったモデルだ。
王道・守りのイメージが強いトヨタだが、2000年には結構遊び心のあるモデルを投入している。ちょっと変わったことがしたくなる、そんな気分もミレニアムならではだったか。
リムジンからミニバンまで三菱は豪快にミレニアム!
ランサーセディアが投入された三菱では、超高級車も登場した。現代自動車(ヒョンデ)と共同で開発されたプラウディアは、V型8気筒4500㏄(V型6気筒3500cc)エンジンを横置きにしたFFモデルという珍しさ。また、ボディ全長を300mmほど伸ばしたリムジン仕様はディグニティと名付けられ、センチュリーやプレジデントの対抗馬として、国産ショーファーカーカテゴリーに参入した。
さらに三菱の5ナンバーミニバンとして飛ぶ鳥を落とす勢いで投入されたがのが、ディオンだ。角張ったボディの中に、丸い優しさがあるデザインは、当時のミニバンの中で珍しい存在となっていた。
いずれも販売は芳しくなく不振が続いたモデルだが、三菱の2000年は大胆かつ特別な、世紀の一手だったのかもしれない。
サクラの原型が四半世紀前にあった?
日産ではブルーバードシルフィが登場した2000年、1台の電気自動車も誕生している。
その名はハイパーミニ。二人乗りの軽電気自動車だ。ネオジム磁石同期モーターと、世界初の自動車用マンガン酸リチウムイオン二次電池を搭載。国産車初のランフラットタイヤ装着などにより軽量化が図られ、1回の充電で115㎞(10・15モード)の走行を可能にしている。
また、カーエアコンにヒートポンプを採用して除湿暖房を実現しているのも凄い。25年前にここまでできてしまうのだから、やはりBEVは日産だ。
ミレニアムと沸き立ち、メモリアルなクルマが数多く登場した2000年。節目の年になると、不思議なことに個性が強すぎて売れないクルマが多く出てくる。記念という意識が、技術者たちに大きな夢を抱かせるのかもしれない。
四半世紀前のクセが強いクルマたちを、令和の今、体感してみるのもいいだろう。作り手の強い思いを感じるクルマは、ユーザーの心を打つはずだ。
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