クルマが関係する損害が発生した場合に、補償をしてくれる自動車保険。加入を法律で義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)のほか、自賠責保険ではカバーしきれない範囲を補償してくれる任意加入の自動車保険がありますよね。
それぞれ加入者が自分にあった補償を選んで加入することができる任意保険ですが、その加入方法には、代理店を通じて加入する「代理店型」と、インターネットで加入者自ら申し込む「ダイレクト型(ネット型、通販型)」の2パターンがあり、同等の補償内容であっても、ダイレクト型のほうが、保険料が安くなる傾向があります。
はたしてダイレクト型自動車保険は、どんな人がどれだけお得になるのか!?? 自動車保険の「ダイレクト型」と「代理店型」の違いについて、2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格をもつ筆者がご紹介します。
文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_ponta1414/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】どんな人がどれだけお得? 自動車保険「ダイレクト型」と「代理店型」の違い(7枚)画像ギャラリーサービスに大きな違いはない
まずは、代理店型とダイレクト型の違いについてご紹介しましょう。冒頭で触れたように、代理店型は代理店を通して加入をするもので、ダイレクト型は、インターネットなどで加入者が保険会社と直接契約を結ぶもの。一般的に、ダイレクト型のほうが、保険料が安くなる傾向がありますが、両者の保険料の違いは、付加保険料の違いによるもの。
自動車保険に限ったことではないですが、保険料は保険金支払いの財源となる「純保険料」と、保険会社が保険制度を運営していくための経費となる「付加保険料」で構成されています。純保険料は、同じ補償内容であれば、どの保険会社と契約しても差はあまりなく、保険料の違いのほとんどはこの付加保険料の違い。ダイレクト型は、代理店に支払うコストがかからないため、そのぶん付加保険料が抑えられ、その結果、加入者が支払う保険料が安く済むのです。
保険料が安い=補償の内容が十分ではない、もしくはサービスに差がある、と考えがちですが、ダイレクト型と代理店型の違いによって、補償やサービスに差がある、ということはありません。
一般的に10%から30%ほどダイレクト型のほうが安くなる
では、ダイレクト型と代理店型でどのくらいの価格差があるのか。付加保険料は、前述したように保険会社の経費であるため、営業戦略や会社の規模、経営方針などによって異なります。そのため、どのくらいの価格差となるかは一概にはいえないものの、一般的には10%から30%ほどダイレクト型のほうが安くなる、といわれています。
ダイレクト型のなかでも、大手保険会社が運営するダイレクト型保険(イーデザイン損保、三井ダイレクト損保など)と、そうではないダイレクト型保険(SBI損保、アクサダイレクトなど)とでは価格差があり、大手保険会社が運営するダイレクト型保険は、そうではないダイレクト型保険よりも、代理店型との価格差が少なくなる傾向があるようです。
代理店型のほうがお得になるケースもある
保険料が安くなる傾向のあるダイレクト型ですが、どんな人にもダイレクト型ほうが向いている、というわけではありません。代理店型は、代理店の担当者が手続きをサポートしてくれるため、保険の知識がなくても、必要な補償を選んでくれますし、事故対応の際にも、代理店の担当者が現場にかけつけてくれることがあります。
その点、ダイレクト型は、補償内容を自分で選ぶ必要があるため、必要な補償をつけるためには、保険の知識がない場合は自ら調べたり、保険会社に問い合わせをしたりなど、手間がかかってしまいます。加入時だけでなく、更新のたびに現在の状況にあった内容となっているのか、確認をしなければなりません。万が一の事故の際のやりとりも、ダイレクト型では保険会社と直接やりとりする必要があります。
特に注意が必要なのが、クルマを複数台所有することになった場合。クルマを複数台所有する場合、新しく買ったクルマの保険等級と、すでに所有しているクルマの保険等級と入れ替える「等級シャッフル」をすることで保険料を抑えることができますが、これをダイレクト型で自ら見極めることはなかなか難しいです。また、どのクルマであっても(クルマじゃなくても)使うことができる特約(個人賠償責任保険)が重複してしまうことも、代理店型であれば避けることができます。
もちろん、代理店型であっても、担当者のいいなりで補償を決めてしまうと、余計な補償までつけてしまうことがあるため注意をしなければなりませんが、保険の知識がなく補償の内容について担当者と相談しながら決めたいという場合は、代理店型をえらんだほうがいいかもしれませんね。
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