有名女優を起用したCMを制作するなど、日本市場において存在感を強めつつある中国のBYD。2025年4月にはドルフィンとATTO 3の価格を改定し、両車とも30万円以上の値下げを敢行した。大胆な価格攻勢の狙いとはいったい何か!?
※本稿は2025年4月のものです
文:角田伸幸/写真:BYD、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年5月26日号
実質60万円以上の値下げ!? どういうこと!?
BYD日本法人が驚きの発表を行った。SUVモデルの「ATTO 3」とコンパクトモデル「ドルフィン」の値下げを発表したのだ。同社の値下げは海外では頻繁に行われて来たが、日本市場では初の試みとなる。
具体的な価格だが、ATTO 3が450万円から418万円に32万円の値下げ、ドルフィンは大容量電池を積むロングレンジを、407万円から374万円へと33万円引き下げた。
しかし驚くのは早い。注目はドルフィンのエントリーモデルだ。BYDはこのモデルを「ベースライン」というお買い得グレードに置き換えた。
お買い得とはいえ、旧モデルとベースラインに装備差はほぼない。強いていえばV2Lケーブルやフロアマットなどが別売りになった程度だ。それでいて価格は299万2000円。実質的に63万8000円の値下げである。
この衝撃値下げの理由だが、3つ挙げられる。列記すると、日本におけるBYDが創業フェーズから普及フェーズへとシフトしたこと。ヒョンデが284万9000円のEVインスターを発売したこと。2025年度のCEV補助金で、BYDの補助金額が目減りしたことだ。
ちなみに「インスターのほうがまだ安い」と思われるかもしれないが、インスターはボディサイズがドルフィンより小さく、バッテリー容量や航続距離も劣る点に注目すべきだ。
補助金については、BYDの金額は35万円になると思われる。トヨタ bZ4Xやレクサス RZなどは90万円も出るだけに、この差をそもそもの価格の安さで補おうという狙いだ。
BYDがいよいよ日本でも本気を出してきた。今後の売れゆきに注目だ。
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