これまでたくさんのクルマが世に出てきた。そのなかには当然モデルチェンジに成功するものもいれば、次代を出すことなく終了してしまうものもいる。黒船よろしく日本に意気揚々と乗り込んだものの、ちっともうまくいかなかったクルマもあるだろう。今回はそんな名車フォード Kaを紹介していく!
文:小鮒 康一/画像:フォード・オブ・ヨーロッパ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】フォード Ka? 撤退した欧州車だろ? いやちょっと待て!! 2代目の特別仕様とか南米仕様カッコいいぞ!?(17枚)画像ギャラリーカー? Carのことかな? いいえKaでカーです
1999年1月から日本で正規輸入販売がスタートされた、いわゆる欧州フォードがリリースしたKaというモデル。読み方は“カー”であり、クルマを意味するCarが語源……ではなく、生命の樹を意味する古代エジプトの象形文字が語源となっていた。
そんなKaは日本ではモノグレード展開、車両価格は150万円のワンプライス販売となっていたが、残念ながら思うような販売台数を捌くことはできず、わずか2年ほどで終売となってしまったのだ。
気合十分で日本に投入されたのだが……
欧州では1996年から販売がスタートしていたKaは、2代目フォード フィエスタのプラットフォームを流用したコンパクトハッチバックモデルで、搭載エンジンは当時としても古風とされていたOHVの1.3Lガソリンエンジンだった。その最高出力も60PSと軽自動車並みのもの。
内外装のデザインは、当時のフォードが提唱していたニューエッジデザインと呼ばれるものを採用しており、今見てもそこまで古臭さを感じさせないものとなっていた。
日本導入に当たっては当然ながら右ハンドル仕様としただけでなく、高温多湿な日本の気候に合わせてエアコンを標準装備とし、ラジエターなどの冷却系も大容量ものを搭載。
さらに電動サンルーフや電動調整式ドアミラー、パワーウィンドウといったものも標準装備とする豪華仕様で、さらにCMには当時人気絶頂となっていたglobeを起用し、大ヒットは約束されたかと思われた。
さすがに強みが見出せんかったよ……
しかし実際のKaは3ドアハッチバックボディのみのラインナップで、前後バンパーは無塗装樹脂、極めつけは5速MTのみの設定でATは用意されておらず、硬派なスポーツモデルでもないKa(ただし海外ではラリーベースのエントリーモデルとして人気だった)は当然ながら販売面で苦戦を強いられることとなったのである。
価格も150万円と輸入車のコンパクトクラスとしては安価であったことは間違いないが、同時期のヴィッツ(初代)は1Lのエントリーモデルで80万円台、1.3Lモデルでも120万円台で購入できたことを考えると、価格の安さというアドバンテージがあったとも言い難いものだった。
良くも悪くも欧州のベーシックカーの特徴を濃縮したようなKaは、コアな欧州車好きからは一定の評価は集めたものの、やはりMTのみのラインナップがライトな層に受け入れられることはなく、2002年に本国で改良型が出ることを待たずして日本導入はストップしてしまった。さすがにMTのみのラインナップではそれも止む無しといったところだろう。
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