2025年の上海モーターショーは、BEVで存在感を増した中国を意識してか、国内外の自動車メーカー、関連企業1000社以上が参加する世界最大級の大規模モーターショーに成長。注目車を中国車研究家の加藤ヒロト氏がご紹介する。
※本稿は2025年5月のものです
文:加藤ヒロト(中国車研究家)/写真:トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年6月26日号
世界が注目する上海/北京モーターショー
中国のモーターショーは毎年4月に開催される上海・北京(それぞれ交互に開催)が最も勢いがあるだけに、日本メーカーも多数の新モデルをお披露目する。
トヨタからは完全新規モデルとしてbZ7が登場、ファストバックのスタイリングのBEV4ドアセダンだ。
先立って3月に発売を迎えた純電動SUVのbZ3Xはすで1万台以上を納車するほどの人気ぶりだが、bZ7もbZ3X同様に中国の流行を取り入れ、特に内装では木目調パネルやシルバーの加飾も加えて高級感も演出している。
一方、レクサスは世界戦略車ESのフルモデルチェンジを発表、初となるBEVとHEVの二刀流で挑む。
中国向け車種の中ではESが最も売れていることもあり、新型ESは中国消費者の好みが大きく反映されている。もちろん中国以外でも販売予定で、日本仕様では内装の設計も変えられる予定とのこと。
日系メーカーで予想外だったのは日産で、N7とともにPHEVピックアップのフロンティアプロがサプライズで発表された。
フロンティアプロは日産のオフロード車種や商用車の生産・販売を手がける現地合弁「鄭州日産」と共同開発したモデルで、鄭州日産ブランドでは姉妹車Z9をすでに販売中だ。
中国市場の流行に追随しないホンダからは、中国向け純電動「Ye(イエ)」シリーズから5ドアセダンのGTが登場した。
2つの合弁「東風ホンダ」、「広汽ホンダ」がそれぞれ異なる前後デザインで投入を予定しており、「BEVでも味わえる走りの楽しさ」を念頭に開発されているという。
2024年にEZ-6で大きな話題を呼んだマツダは、2025年はEZ-6に続く共同開発第2弾EZ-60を発表した。
質感は内外装ともにEZ-6より大幅に向上しただけでなく、インパネの完全廃止やデジタルアウターミラーの採用など、かなり攻めたパッケージングを感じさせる。
中国&ドイツメーカーも多数参加
数多くのブランドが存在する中国勢だが、2024年の北京モーターショーから倒産などを経験して姿を消したところも少なくない。
淘汰のフェーズから脱却して勢力図が落ち着いてきたかのように見えても、実は安定した事業を展開できていないブランドは多数存在するのだ。
中国勢全体の傾向としては引き続きPHEVやEREV(発電専用のエンジンと外部充電可能な大容量バッテリーを持つPHEVの仲間)の勢いが強い。
2025年はそれらに搭載される新規開発の水平対向エンジンもBYDやチェリー、そしてホース(ルノーグループとジーリーのパワートレーン合弁)によってお披露目。
また、クルマからはかけ離れるが「空飛ぶクルマ」を出展するブランドも2024年と比べて増えている。
そのどれもが名前だけクルマで実際は巨大なドローンということではなく、しっかりと四輪車の形をしながら、固定翼や回転翼など飛行できる構造も兼ね備えているという点に、クルマ好きとしては興味深いと感じた。
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