非常に不思議な赤ちゃんとクルマの相性の良さ。ぐっすりと眠れてしまう理由はどこにあるのだろうか。現在、子育て真っ最中の筆者が、赤ちゃんが眠りにつきやすくなる車内環境や運転について、考えていく。
文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=Africa Studio@Adobestock)
【画像ギャラリー】赤ちゃんがぐっすり寝ていられる運転を心がけよう(3枚)画像ギャラリーだれもがこの経験ありませんか?
クルマが走っている最中、赤ちゃんの泣き声を聞くことは珍しい。さらにクルマを動かしているだけで、静かになった赤ちゃんはスッと眠りに落ちてしまう。
こうした経験は、多くの人がしていることだろう。寝かしつけや夜泣きに困った時、クルマが救ってくれたという話も数多く聞く。非常に相性のいい赤ちゃんとクルマ。その秘密はクルマの振動と音が握っているようだ。
小児科の先生に話を伺ったところ、クルマのエンジンが奏でる音と走行中の振動が、赤ちゃんを心地よい眠りに誘ってくれるという。この環境は、お母さんのお腹の中にいたときに近いというのだ。
実際にどのようなシチュエーションだとよく眠れるのか。1歳になった我が子を色々なシチュエーションで1年間乗せ続け、導き出された結果をお伝えしていく。
小刻みな振動の方が眠りに落ちやすい
筆者の子がよく寝たのは、エンジンの振動よりも路面状況による振動を受けていた場合。ロードノイズは少し大き目くらいの方が、寝る確率が高かった。
さらにクルマの足は柔らかめよりも少し硬めがお好みのようで、タイヤサイズで言えば、15インチよりも18インチがお好き。大人が乗っていると少し乗り心地悪いと感じるくらいの硬めの足の方が、我が子にとってはよく眠れる環境だったのだ。
また心地よい振動係数のようなものがあるようで、様々な道を走る中で眠りにつきやすい道とそうではない道があった。綺麗なアスファルトよりも、少しロードノイズが出やすく荒れた路面の方が、入眠率は高い。
入眠しやすいクルマの速度もあり、我が子の場合は、50km/h~70km/hあたり。大きめのバイパスや自動車専用道路を法定速度近くで走っているときが、最も気持ちよさそうに眠る。
同じ道でも速度によって、子供の感じ方は変わってくる。「眠くなっている」もしくは「寝付いた」場所と走行速度を記憶しておき、眠りにつく条件をできるだけ忠実に再現してあげることで、クルマの中を子供にとってのベッドに変えることもできるはずだ。
ミニバンよりもセダンの方が寝やすいってマジ?
ファミリーカーと言えばミニバンやSUVが主流だが、乳幼児の睡眠だけを考えると、これらのクルマは少し不利かもしれない。というのも、子供が1歳に差し掛かる頃にプリウスからノアに乗り換えたのだが、ノアに乗るようになってからクルマで寝ることが減ってしまったのだ。
眠れない(眠らない)理由はいくつかあるのだが、最も大きいのは「外が良く見える」ということだと思う。
お世辞にも開放感があるとは言えなかったプリウスの車内で、子供に見えるのは代り映えのしない内装がほとんど。
着座位置が低いのとドアウィンドウ下端に高さがあり、チャイルドシートに座った時に外の風景を眺めるというのはほとんどできない状況だった。これだと、子供にとっては「寝るしかない」状況になる。
対してノアは広い車内に着座位置の高いシート。さらに大きな窓からはチャイルドシートに座っていてもしっかりと外が見える。行き交うクルマや建物など、興味を惹くものがたくさんあって、子供も寝ている場合ではなくなってくるのだろう。
ミニバンで子供が寝ないという場合には、日よけなどをつかって視線を遮ってあげると良い。また、乳児期を過ぎたあたりで、まだ回転できるチャイルドシートに乗っている場合には、座る向きを後ろ向きにしてあげると、視界が遮られ囲われた空間になるので眠りに落ちやすくなる。
チャイルドシートは後ろ向きに使わなければならない期間はあるが、前向きにしなければならない期間というものは無い。乳幼児の交通事故死が少ない欧州では、4歳頃まで子供は後ろを向きで乗せる国もあり、実際のところ後ろ向きで乗っている方が、子供にとっては安全なのだ。
いったん不機嫌になったり泣かれたりすると、どうすることもできなくなってしまう赤ちゃんとのドライブ。親子それぞれにとって良い時間にするために、子供が寝やすい環境、寝やすい運転を心がけて、クルマを大きなゆりかごにしてしまおう。
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