国産車における本格クロカンはランドクルーザーの一強状態が続いているが、かつては各メーカーが展開しておりバリエーション豊かだった。だって、今では軽自動車のイメージが強いダイハツもランクル70に近いモデル存在していたのだから!!
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】どちらも本格クロカン!! ダイハツラガーとランクル70じっくりと見比べてちょーだい!!(8枚)画像ギャラリー無骨なタフトから乗用車感のあるラガーに
今ではすっかり軽自動車のスペシャリストというイメージのダイハツ。しかし過去には普通車もそれなりにラインナップしていた時代があり、他メーカーがラインナップしなかったコンパクトなサイズの本格クロスカントリーモデルをリリースしていたこともあったのだ。
そのひとつが1984年に登場したラガーというモデルで、それまで存在していたタフト(現在の軽自動車とは異なる)の後継車種として発売されていた。
現在では軽自動車のクロスオーバーSUVの車名として使われているタフトだが、初代モデルは1974年に登場し、1Lのガソリンエンジンを搭載しながらもラダーフレームや副変速機付のパートタイム4WD、そしてリジッド式のリーフサスペンションなどを備える本格的なクロスカントリーモデルだった。
タフトはランクル40を思わせるようなガチめな雰囲気を持つモデルとなっていたが、その後継車種として登場したラガーは、メカニズム的にはタフトのものを踏襲する本格的な悪路走破性を兼ね備えていながらも、乗用車風のルックスに進化したもの。
例えるとタフトがランクル40なら、ラガーはランクル70と言えるような仕上がりとなっていた。
タフト時代にはガソリンモデルも存在していたが、ラガーは全車2.8Lのディーゼルエンジンのみとなっていた(のちにディーゼルターボも追加)。
しかしボディサイズは全幅で1580mmと引き続きコンパクトで、狭い道を通ることが多い林業などのユーザーには引き続き重宝されていたのだった。
乗用車登録のワゴン追加も爆売れヒットせず
当初は商用登録のモデルのみとなっていたが、1985年9月には乗用車登録のワゴンを追加。1987年9月には大型バンパーや角型ヘッドライトを備えるマイナーチェンジを実施し、近代化がなされている。
そして1993年4月のマイナーチェンジでは、なんと足回りをリジッド式のリーフスプリングから、フロントがダブルウィッシュボーン/トーションバーの独立式、リアが5リンク+コイルスプリングへと大幅に変更。
上級グレードにはワイドタイヤと大型オーバーフェンダーが備わり、全幅は一気に1,780mmへと拡大され、ダイハツ車初の3ナンバー車となったのだった(通常モデルは全幅1,690mm)。
そんなラガーは硬派であるあまり、最後までAT車が用意されなかったこともあって、晩年は販売台数が伸び悩み、1997年4月に登場したテリオスを実質的な後継車種として姿を消すこととなった。
なお余談ではあるが、ラガーは1989年にイタリアのカロッツェリア、ベルトーネとライセンス契約を結び、「ベルトーネ・フリークライマー」のベースとなっている。
このフリークライマーはBMW製のエンジンを搭載したモデルとなっており、専用のフロントマスクが与えられていたが、ボディシェルは明らかにラガーとなっている変わり種車だった。
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