ガソリンスタンドが減少するいま、都市部よりも地方の過疎地に最適
FT-Meは1走行あたりの航続距離が短く、道路や駐車場所の狭い欧州都市部のコミューターとして考えられているようだが、むしろ日本では離島や地方の過疎地の最適かもしれない。
次世代自動車振興センターが公表している都道府県別のデータを見るとEV&PHEVの総普及台数(2023年)では1位東京都(5万8115台)、2位愛知県(4万7119台)、3位神奈川県(3万5600台)、4位大阪府(2万6996台)、5位埼玉県(2万5579台)と人口の多い地域が普及している。
一方、人口1万人あたりのEV&PHEVの普及台数を見ると67.3台で岐阜県が全国1位となった。以下、2位の愛知県(63.0台)、3位岡山県(56.9台)、4位佐賀県(56.6台)、5位福島県(56.3台)。人口の多い首都圏をみると24位東京(41.3台)、30位神奈川県(38.6台)、34位埼玉県(34.9台)、38位千葉県(34.0台)と地方のほうが多い。
しかし、日本の場合、マイクロBEVは、都市部よりも離島や地方の過疎地のほうが合っているように思う。公共交通の手段が限られ、減少の一途を辿る逼迫した地方のほうが、マイクロBEVが重宝するのではないだろうか。
資源エネルギー庁によると、ガソリンスタンド数はピーク時の平成6年度末には6万箇所を超えていたが、令和4年度末には2万7963箇所と、約30年で半分以下となっている。今後もガソリンスタンド数が減少していくことが予想されるので、高校生や大学生、高齢者にとってもこうしたマイクロBEVがピッタリではないだろうか。
欧州12ヵ国で6万5000台以上販売され、4年連続で電動マイクロモビリティのトップセールスを記録しているシトロエンアミは全長2410mm×全幅1390mm×全高1520mmという超小型サイズで、車両重量は485kg(バッテリーを含む総重量)。最小回転半径は3.6mと小回り性もよく、狭いパリの路地でも運転しやすい。
アミに搭載されるモーターの最高出力は6kW(約8.2ps)で、リチウムイオンバッテリーは5.5kWh。最高速度45km/hでの走行と、最大航続可能距離70kmを達成。兄弟車のトッポリーノは6kWh(8.2ps)、バッテリー容量は5.4kWh、1充電あたりの航続距離は75km。航続距離が少なすぎると思うかもしれないが、都市部における1日の平均航続距離は35~40km以内といわれているので必要十分と言われている。
やはりシトロエンアミやフィアットトッポリーノ最大の特徴はフランスなら14歳以上、他のヨーロッパの多くの国も16歳以上なら講習さえ受ければ運転免許が必要ない点。
FT-Meの価格は明らかになっていないが、フィアットトッポリーノのイタリアでの車両本体価格は9890ユーロ(約158万円)。国の補助金を受ければ7544ユーロ(約120万円)で購入することができるのも大きい。
【画像ギャラリー】全長2.5m以下のマイクロBEVが日本の過疎地を変える?? トヨタFT-Meの写真をチェック!!!(11枚)画像ギャラリー日本では発売されるのか? 運転免許不要?
さて、日本ではどうか? ちなみに「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」は2023年7月に施行された改正道路交通法により新設された区分である。電動キックボードがこれにあたるが、要件さえ満たしていれば4輪もOKで16歳以上であれば免許は不要。
トヨタFT-Meやフィアットトッポリーノなどはこれに該当しない。現在、日本で販売されている超小型モビリティは道路運送車両法上の車両区分では軽自動車に区分され、乗車定員は2名。さらに2つに区分され、「型式認定車」と個別に申請が必要な「認定車」に分けられている。残念ながら、運転免許は不要ということはなく、普通免許が必要だ。
ちなみに2024年夏に生産終了したトヨタシーポッドは超小型モビリティの型式認定車だった。もし、FT-Meやフィアットトッポリーノが日本で発売になった場合は、おそらく超小型モビリティの型式認定車になるだろう。
地域によっては14歳以上、16歳以上なら運転免許が不要というヨーロッパのようになれば普及がさらに進むと思われるが、現在の法制度では厳しい。傍若無人ぶりが目立つ電動キーボードよりもマイクロBEVのほうがいい気がするのだが……。
【画像ギャラリー】全長2.5m以下のマイクロBEVが日本の過疎地を変える?? トヨタFT-Meの写真をチェック!!!(11枚)画像ギャラリー
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