トランプ米政権にもの申す!! アメ車が日本で売れない理由は? 日本車の逆輸入車だったら売れるのか? 大真面目に売れる逆輸入車を考察!!!

トランプ米政権にもの申す!! アメ車が日本で売れない理由は? 日本車の逆輸入車だったら売れるのか? 大真面目に売れる逆輸入車を考察!!!

 トランプ米政権の関税措置を巡り、日本政府内で日本車メーカーが米国で生産する自動車を日本に逆輸入する案が浮上したと毎日新聞が報じた。またか……。1990年代、GM製シボレーキャバリエにトヨタバッジを付けて日本で販売したがさっぱり売れなかったという事実をトランプ大統領は知っているのか? では、はたして日本車の逆輸入車は、日本で売れるのか、自動車専門誌ならではの視点で考えていきたい。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部

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日本でアメリカ車は売れない理由はわかりきっている

アメリカで生産している日本車は日本で売れるのか? 写真は日産自動車テネシー工場
アメリカで生産している日本車は日本で売れるのか? 写真は日産自動車テネシー工場

 「アメリカ車がほとんど日本で走っていない……」。石破総理は4月14日、衆議院・予算委員会に出席し、アメリカのトランプ大統領と電話会談した際、トランプ氏から不満の声があったとコメントした。

 第一次トランプ政権の時にも、当時の安倍首相にも同じことを言ったそうだが、安倍首相はアメリカ車のボディサイズは日本の道路事情に合っていない、ドイツ車は右ハンドルを用意し日本の実情に合わせている、アメリカの自動車メーカーの努力が足りないと一蹴。

 たしかに日本車はアメリカで588万2438台(2024年)も販売しているのに、日本で販売されているアメリカ車は、5600台あまりのテスラを含め1万6700台あまり(JAIAの統計)で、国内全体の新車販売の0.3%にとどまっている。

 これを聞いてSNSでは「またか、日本市場の内情をわかっていないのは相変わらず」「右ハンドル化を含め日本市場で売る努力もしないくせに売れるわけがない」「サイズも排気量も大きく自動車税、重量税が高い」と辛辣な意見が寄せられている。

 さらにトランプ米政権の関税措置を巡り、日本政府内で日本車メーカーが米国で生産する自動車を日本に逆輸入する案が浮上したと毎日新聞が報じた。

 一般的に逆輸入車とは、日本国内で生産され、海外に輸出された後に再び日本に輸入されたものを指すが、海外で生産された日本車を、日本に輸入して販売する場合も逆輸入車として捉えられている。

 前者の場合、日本で売りたければ、わざわざアメリカに輸出したものをまた輸入するのは、並行輸入車ならまだしも正規販売では二度手間になるので現実的ではない。関税措置回避に該当するのはアメリカの工場で生産された日本車を輸入するやり方だろう。

アメリカ車のなかで最も売れているのはジープブランド。写真はジープラングラールビコン
アメリカ車のなかで最も売れているのはジープブランド。写真はジープラングラールビコン

 まずは、2024年1~12月の輸入新車販売台数(JAIA)を見てほしい。アメリカ車はまったくといっていいほど日本市場で売れていないことがわかる。

■2024年1~12月の輸入新車販売台数(JAIA調べ)
1位:メルセデスベンツ 5万3195台(シェア16.58%)
2位:ホンダ 4万5107台(シェア14.06%)
3位:BMW 3万5340台(シェア10.99%)
4位:VW 2万2779台(シェア7.1%)
5位:アウディ 2万1415台(シェア6.68%)
6位:BMWミニ 1万7165台(シェア5.35%)
7位:日産 1万4354台(シェア4.47%)
8位:トヨタ 1万4213台(シェア4.43%)
9位:ボルボ 1万2331台(シェア3.84%)
10位:マツダ 9686台(シェア3.02%)
11位:ジープ 9633台(シェア3.00%)

 アメリカ車は、ジープがようやく9633台で11位にランクイン。フランス車、イタリア車を抜いてランクインしているのは大健闘といっていいだろう。ちなみに他のアメリカ車勢はというと、587台でシボレーが28位(0.18%)、449台でキャデラックが35位(0.14%)と、トランプ大統領が嘆くのも仕方ない。

 さらにトランプ大統領は「日本はボウリングの球によるテストを行っていてボンネットがへこむクルマは不合格になる」と批判し、非関税障壁といちゃもんをつけている。当然、ボウリングの球による試験を行っているわけではない。

 型式認定による認証制度は43の基準があり、そのうち、トランプ大統領が指摘したボウリングの球のテストは、「歩行者保護基準」を満たしているかどうかを調べるため、人の頭部を模した球状の装置を高さ2mからボンネットに衝突させている試験のことだろう。

 これは「歩行者頭部保護性能試験」と呼ばれ、歩行者の頭部を保護するための基準として頭部を模擬したダミーを、ボンネットに衝突させ、衝撃の大きさを計測。

 むしろ衝撃を吸収させクルマに乗車している人に影響のない範囲内でへこんだほうがよいとされているのだ。この試験は2004年に安全基準に導入された。日本が主導し、国連基準にも盛り込まれた。

 国連基準とは、各国当局や産業団体などが「国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」で審議して定めた国際的な自動車の安全環境基準である。

 日本はこの国連基準をすべて採用しており、欧州や韓国、タイ、オーストラリアなど61ヵ国の地域も採用。この国連基準に採用している国や地域から日本に輸入する場合には新たな認証を得る必要はない。実に合理的で極めて効率的なシステムだ。

 これに対しアメリカが独自に採用している基準「FMVSS(Federal Motor-Vehicle Safty Standard)」は国際基準43の基準のうち3つしか採用していない。むしろ、アメリカの安全基準を国際基準に改めるべきで、それが販売の妨げになっているのをわかっていないのだ。

 歩行者頭部保護性能基準試験については情勢が変化している。2024年9月、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、新たに歩行者頭部保護性能基準試験を設けることを発表。

 新たな連邦自動車安全基準を制定するもので、頭部へのボンネット衝突を模擬した試験手順と、頭部損傷のリスクを最小限に抑えるための性能要件を規定。試験手順には、頭部へのボンネット衝突を測定するために、人型頭部模型の使用も含まれている。

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