トランプ米政権にもの申す!! アメ車が日本で売れない理由は? 日本車の逆輸入車だったら売れるのか? 大真面目に売れる逆輸入車を考察!!!

1990年代よりさらに日本車との差が開いた?

 1990年代から30年経った今、日本で売れるアメリカ車はなにか? ぶっちゃけ、日本人がアメリカ車に求めるものは、ボディの小ささや燃費のよさではないのだ。しかも低燃費、安全装備、クオリティ、価格……、はっきりいって日本車に勝てるはずがない。

 ここで、並行輸入車も含め、過去日本で売れたアメリカ車(フォードの欧州生産車を除く)を見ていきたい。ジープはラングラー、チェロキー&グランドチェロキー。フォードは、エクスプローラー、マスタング、シボレーはアストロ、タホ、ブレイザー、カマロ、コルベット、キャデラックSLS&STS、エスカレード、クライスラーはボイジャー、PTクルーザー、ダッジデュランゴ、チャレンジャーなど。これらのアメリカ車に共通するのは、「アメ車らしさ」なのである。

1966年に誕生し、1996年に生産終了した伝説のSUV、フォードブロンコが復活。通算6代目となる新型ブロンコは、ブロンコ史上初のミッドサイズSUVとしてデビュー。4人乗りの2ドア仕様と5人乗りの4ドア仕様をラインナップ
1966年に誕生し、1996年に生産終了した伝説のSUV、フォードブロンコが復活。通算6代目となる新型ブロンコは、ブロンコ史上初のミッドサイズSUVとしてデビュー。4人乗りの2ドア仕様と5人乗りの4ドア仕様をラインナップ

 ちなみに筆者が今一番欲しいと思っているアメリカ車は、フォードブロンコ。1966~1977年の初代アーリーブロンコを復活させたデザインで、2.3L直4のエコブーストターボ(275HP&420Nm)と2.7LV6ターボ(310ps/420Nm)に7速MTと10速ATを組み合わせる。アメリカでは爆発的に大ヒットし、中古車はプレミアム価格で売られているほどだ。日本では並行輸入によって700万円前後ほどから購入できる。ゲレンデヴァーゲン、ディフェンダー、ジープラングラーなどと並び、伝統と新しさを兼ね備えたレトロモダンなSUVである。

 輸入車の販売上位を占めるメルセデスベンツやBMW、VWなどのドイツ車は、日本車を上回る質感の高さやガッチリとしたボディ剛性感、乗っていると羨ましいと思わせるブランド力など、売れている理由が理解できる、という日本人は多いだろう。特に、セダン市場は、レクサス、クラウンといえどもメルセデスベンツやBMW、アウディといった欧州勢に苦戦を強いられている。

アメリカ生産の日本車は売れるのか?

アコードクーペはアメリカ・オハイオ州のメリーズビル工場で生産された
アコードクーペはアメリカ・オハイオ州のメリーズビル工場で生産された

 純粋なアメリカ車の販売は難しいのであれば、逆輸入車の日本車であれば売れるのではないかという政府の目測は正しいのだろうか? 前項で紹介した、日本市場で失敗したアメリカ車ではなく、かつて日本でもアメリカ産の日本車が輸入され、日本で販売されたことがあった。ここでは成功例の一部を紹介しよう。

 国産メーカーの海外生産車輸入第1号は、1988年4月に発売されたアコードクーペだった。ホンダのオハイオ工場で生産されたアコードクーペは、左ハンドルのまま日本に輸出された。

 当時はバブル期で景気は非常によかったが、それでも一般的な日本人にとって、輸入車はまだ高嶺の花。だからこそ左ハンドルへの憧れは強かったし、国産メーカー車であっても、アメリカの香りのするアコードクーペは、「シブイ」「カッコいい」と、かなりの人気になったのだ。

 アコードクーペはその後、1990年3月から2代目が、1994年2月からは3代目が逆輸入されたが、物珍しさや特別感は徐々に薄れ、最終的には不況やクーペ人気の下降もあって、1997年をもって販売終了となった。

1991年4月に販売されたアコードUSワゴン。エンジンは2.2Lのみ。逆輸入車としては大ヒット
1991年4月に販売されたアコードUSワゴン。エンジンは2.2Lのみ。逆輸入車としては大ヒット

 その後も1991年からアコードワゴンもオハイオ工場製を日本に輸入し、日本ではわざわざ「アコードU.Sワゴン」という車名が付けられた。つまり、積極的に逆輸入車であることをアピールしており、アコードクーペに続いて、半輸入車テイストを狙ったクルマだった。初代アコードU.Sワゴンは、3年間で4万台近くが販売され、逆輸入車としては大ヒットとなった。

 2代目アコードワゴンは「U.S」の名称こそ落とされたものの、相変わらずアメリカからの逆輸入が続けられ、これまたヒット。しかし3代目アコードワゴンは、ついに国内製に。当時はすでに日本国内ではワゴンブームもおおかた去り、オデッセイが大ヒットするなどミニバン時代が到来していたこともあって、販売は急減した。

1994年2月〜1997年8月まで販売されていた2代目USアコードワゴンも初代に続いて大ヒット
1994年2月〜1997年8月まで販売されていた2代目USアコードワゴンも初代に続いて大ヒット

 その後は、東南アジアから輸入されるケースが増え、コルト、マーチ、キックス、ハイラックス、WR-V、トライトンがタイから、フロンクスがインド、オデッセイが中国から輸入されている。

 さて、今回浮上した、日米貿易摩擦解消に有効だと浮上した日本車の北米現地生産車、いわゆる逆輸入車の日本での販売はうまくいくのか? 

 日本メーカーが米国で生産した右ハンドル車なら日本市場で安定した販売が見込めるとの期待があるため、逆輸入案が浮上したとみられるが、はたしてどんなクルマが売れるのだろうか?

 アメリカには非営利団体の消費者団体であるコンシューマーズユニオンがあるが、各社のモデルを満足度や安全性、故障率など、さまざまな切り口でランク付けしている。

 そのなかから、コンシューマーレポートWeb版に掲載されている「2025年の注目車10選」を参考にしたい。ここでは2025年に高い評価を得るであろうクルマをカテゴリー別に10台挙げているのだが、なんと10カテゴリー中7カテゴリーで、日本車がもっとも注目すべきクルマにあげられているのだ。アメリカ車はたったの2カテゴリーである。トランプ大統領はなぜ日本でアメリカ車が売れないと嘆く前に、なぜアメリカで日本車が人気なのかをいま一度考えてほしいものだ。

 特にBMWやポルシェというプレミアムブランドを押さえて首位に立ったスバルの躍進はお見事というしかない。ちなみに同ランキングでアメリカ車の最上位は、16位のクライスラーである。

●小型車:日産セントラ
●中型車:トヨタカムリ
●小型SUV:スバルクロストレック
●コンパクトSUV:スバルフォレスター
●燃費のよいSUV:トヨタRAV4 PHEV
●中型SUV:トヨタハイランダーハイブリッド
●高級コンパクトSUV:レクサスNX350h/NX450h+
●高級ミッドサイズSUV:BMW X5/X5 PHEV
●EV:テスラ モデルY
●小型ピックアップ:フォード マーベリック/マーベリック ハイブリッド

 この日本車のなかで、日本で売っていないクルマは、日産セントラ、トヨタハイランダーハイブリッドだけである。これを見て、みなさんはどう思いますか? このデータがすべてはないが、日本車がいかにアメリカ人に人気なのかわかるだろう。

次ページは : どんな逆輸入車が日本で売れそうか? トヨタ車は?

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